車を診て、人を感じる仕事

査定の場はお互いがお互いを見る場だと思っている。オーナーさんはもちろん査定にやってくる業者がどんな人か見ている。我々は車を見るのが仕事だけど、同時にオーナーさんがどんな人かも知ることになる。もっと言えば、オーナーさんを見るのも仕事だと思っている。正直に言って、その対応で金額が変わったりもする。そこがデータを本社に送って、上司からの金額提示待ちをする業者と違うところ。誰をおつきあいするかどうかは自分で決められるのだ。自分がおつきあいしたいと思ってもオーナーさんにこちらに向いてもらえないことももちろんある。それは何だったのかと考えるところが次にいきる。ある大手買取店の人は、「お客さんはお金に見える」と言っていたけれど、小規模事業者はそんな気持ちだったら100%やっていけない。

我々の仕事は、車を見て、人を見る。「見る」というのはふさわしくないかもしれない。車は診て、人を感じる、ということかもしれない。いずれにしても、そのオーナーさんの気持ちを感じることが大事なのだ。「売ることが決まったら連絡くれ」などとよくも言えるなと思う。車も人の気持ちも見ない業者も多い。昨今のニュースでオーナーさんの警戒心は一層高まった感じがする。「コイツもあの業者と同じではなかろうか」という気持ちがあるのが当然。信頼関係構築のプロセスは以前より後方からのスタートになっている。ただ、オーナーさんの気持ちを感じられ、共感できれば、その距離は短いような気もする。最終的には人と人の仕事だ。オーナーさんにもいろんな人たちがいる。めちゃくちゃ乱暴な人たちもいるのも事実。「お前と丁寧に付き合わなくたって、業者なんていっぱいいるわ」という気持ちが透けてみえる。繰り返しになるけれど、小規模事業者としての買取業は、誰とおつきあいするかを自分が決められるところが自分を成長させてくれると思っている。そんな気持ちで仕事ができれば、どんな車を買い取れるかなど大きな問題ではない。誰をおつきあいさせてもらえるか。小規模事業者としての買取業はそういう人たちの集まりで仕事をさせてもらえると思っている。それを感じてもらえる人たちが増えている実感があるのも楽しいことなのだ。

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