買取業を成立させる大事な資質とは
人は皆自分のことを聞いてもらいたいと思っている。日々起きたこと、迷ったこと、楽しかったこと。それを聞いてほしいという気持ちが潜在的・顕在的にある。かつてあったコンサルタントの人は、人間関係の悩みは聞くことで大半が解決するのだけど、それができる人は少ないと、言っていた。それはなんかわかる気がする。説明会でも査定でも、何の脈絡もないのに武勇伝を語ってくる人がいる。自分はどれだけすごいかをアピールするのだ。この間の加盟検討者は、さんざん武勇伝を語ったあと、加盟金を聞いて「たけーな」と言った。ウチがどんなところなのかを説明する前なのに。続けて、「俺が講師をやってもいいぐらいだから、安くならないか」とも。ただ単にお金がない人なのかと思った。」そんな実力の持ち主だったら、加盟金分など一瞬にして回収できますね」と言ったけれど、その返事はなかった。人はそれだけ自分の話を聞いてほしいものなのだ。
査定の現場では、お客さんの話を聞くところからスタートだ。なにせ買取業は自社の商品をもっていない。お客さんのところに商品がある商売なのだ。それだけに聞かないとわからないことはたくさんあるし、そもそも見ないとわからない商売なのだ。車だけではなく、人にも好奇心をもらないとやっていけない商売だと思っている。車をみるのはそこそこで、自社の返答待ちに3倍ぐらいの時間がかかる業者だっている。査定員は車の中で時間つぶし。お客さんはどうしたらいいのか。どういう気持ちでなぜ車を手放したいと思っているのか。そもそもこのひとは何をしている人なのかに関心を向けたって損はしない。うまく尋ねれば答えてくれるはずだ。査定の現場を不快にさせるような人はこの仕事に向いていないと思っている。
何度か書いているけれど、会社をやめてから自分は非常勤講師として大学で教えていたことがある。週に3日ぐらい結構遠くのキャンパスへ通っていた。そのときに学生から言われた言葉があり今でもたまに思い出すことがある。「先生は人に関心ないですよね」。演劇をやっていて就活をせず、その道に進もうとしていた学生だったと気にしている。役者感覚からなのか、雑談のときにそう言ったのだ。そのときは何を言っているのかな、と思っていたのだけど、人で商売し始めた今となれば、思い当たるふしが多々ある。人に関心を向けないと自社都合ばかりを連発する業者になるのだ。
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