価格と満足度の関係

テレビもラジオもクルマ関係のCMがホントに多いと思う。どの業者も「顧客のために」というお題目を掲げているけれど、一般の人がクルマを業者から買ったり、業者にクルマを売ったりするときに、最終的にお客さんはどれだけ満足しているのだろうか、と思うことがある。個人売買も含めると、売るときも、買うときも、選択肢は圧倒的に増えた。そのことと満足度の関係はどうなんだろうか、とも。

テレビとかラジオとか広告媒体はアナログであっても、そこで認知されることを目的としているサービスは、ネットやITサービスであることはほぼ間違いない。簡単に言えば、「このサービスを使えば、あるいはこのサイトを使えば、安く買えるし、高く売れる」という内容ばかりだ。消費者心理のいちばん単純な欲求に訴求しているとも言える。ヘンにひねると効果が薄い、注目を引くにはわかりやすさが求められるということだろう。

ただ、その期待はあまり実現していないのではないかと思うこともしばしばだ。便利そうなサービスの裏側でもっとも毀損されているのは、「時間」だと思う。調べれば調べるほど、もっと安く買えるところが出てくるかもしれない、もっと高く売れるところがあるかもしれないと思ってくるのだ。スキマ時間のすべて、可処分時間のすべてをスマホでの検索に費やしても、まだ納得感がすくない。もっともっとと思うのだ。

最終的な決着は疲労感とともにやってくる。これはどれだけ時間を費やしても同じだなと悟りだす。そんな精神状況には「○○はサービスしておきますから」「今、契約してもらえれば10万円査定額アップします」という営業担当者の言葉は自分自身を納得させるには十分すぎるのだ。実際はなにか得かなんてわかっていない。そうやって決まっていくのだ。そこに満足感はあるのだろうか。そんなことを考えさせないのが、「できる」営業担当者とも言える。

選択肢が多ければ、幸せな未来が待っているわけではない、ということは『選択の科学』という本で明らかにされている。そんな理屈よりも単純欲求が求められることはわかっているけれど、やっぱり人間の本質を解明した理屈を手がかりとして事業をしたいなとも思う。

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