日銀が利上げしたのに円安?|今週の中古車市場で見ておきたいこと

毎週月曜日、中古車市場で起きている変化の中から、
今週特に見ておきたいテーマを一つ取り上げてみたいと思います。

中古車の査定というと、車の年式や走行距離、過去のオークション相場を見る仕事だと思われるかもしれません
もちろん、それらは重要です。
ただ、中古車価格を動かしているのは車そのものだけではありません。
為替、金利、海外需要、物流、輸出規制、世界情勢。
こうした一見すると車とは離れたところにある出来事が、巡り巡って日本の中古車オークション、そして査定価格につながっています。
今週は「日銀の利上げと円安」から考えてみます。

日銀が利上げ。それでも円安へ

日銀は9月18日、政策金利を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げました。
一般的に、日本の金利上昇は円高方向に働く要因の一つと考えられます。
ところが今回、利上げ後の為替市場では円高が定着せず、むしろ円安方向へ動く場面がありました。
ここが市場を見る面白さでもあります。
「利上げしたから円高になる」
「円高になったから中古車輸出が弱くなる」
そんな単純な一本線では市場は動きません。
重要なのは、ニュースを見て結論を出すことではなく、そのあと実際に市場がどう動いたのかを観察することです。

円安は中古車輸出にとって追い風

円安は基本的には、日本の中古車を買う海外バイヤーにとって追い風になります。
例えば海外で同じ金額で販売できる車なら、円が安くなるほど日本のオークションで円換算の買付余力が大きくなる可能性があります。
そのため、為替は中古車相場を見るうえで重要な指標です。
ただし、ここでも注意が必要です。
「円安=輸出車は全部高くなる」とは限りません。
なぜなら、海外へ車を売るためには、為替以外にもさまざまな条件があるからです。

UAE・中東は「為替+物流」

例えばUAE・中東です。
円安になれば、日本から中古車を買いやすくなる方向には働きます。
しかし、実際に車を海外へ運ぶためには船が必要です。
中東情勢が不安定になれば、航路、船賃、保険料、輸送期間などが変わる可能性があります。
円安で10万円分買付余力が増えたとしても、物流コストがそれ以上増えれば、海外バイヤーが日本のオークションで出せる金額は上がりません。
だから中東向けの車を見るときは、「円安になったか」だけではなく、「今、その価格で運べるのか」まで見る必要があります。

ロシア・中央アジアは「為替+規制」

ロシア・中央アジアも同じです。
ロシア向けの中古車需要が強くても、日本からすべての車を自由に輸出できるわけではありません。
輸出規制があります。
つまり、「ロシアで日本車が人気だから高い」というだけでは査定できません。
その車種、排気量、パワートレーンなどを見ながら、実際に輸出できる車なのかを確認する必要があります。
需要があることと、その需要に日本から車を届けられることは別の問題です。

東アフリカでは日本とは違う評価がある

タンザニアやケニアなど東アフリカも、日本の中古車にとって重要な市場です。
ここでは、日本国内とは車の評価基準が違うことがあります。
日本では「年式が古い」「走行距離が多い」という理由で評価されにくい車でも、海外では耐久性、修理のしやすさ、部品供給などによって需要が残っていることがあります。
だから私は、低年式や多走行の車ほど、国内だけの感覚で価格を判断しないようにしています。
パキスタン・南アジアは「制度変更後の実際の買い」
パキスタンなど南アジアでは、中古車輸入に関する制度変更も市場を動かす材料になります。
ただし、制度が変わったというニュースだけで「これから相場が上がる」と判断することはできません。
制度が変わる。
現地の事業者が動く。
日本のオークションに買いが入る。
応札価格が変わる。
そこまで確認して初めて、日本の中古車相場への影響が見えてきます。
ニュースはあくまで市場変化の入口です。

日銀の利上げから査定価格まで

こうして考えてみると、日銀の利上げと一台の中古車の査定価格がつながっていることが分かります。
金融政策が変わる。
為替が動く。
海外バイヤーの採算が変わる。
物流や規制によって、その影響が国ごと、車種ごとに変わる。
中古車オークションでの応札が変わる。
そして最後に、私たち買取店の査定価格に反映されます。
金融政策→為替→物流・規制→海外需要→オークション→査定価格。
だから私は、車を査定する仕事をしながら経済ニュースや世界情勢を見ています。

今週、私が確認したいこと

今週は「中古車相場が上がるか、下がるか」を予想するより、日銀の利上げ後の円安が実際のオークションにどう現れるのかを確認したいと思っています。
輸出向け車両への応札は強くなるのか。
中東向けの大型SUVはどう動くのか。
ロシア向け車両はどうか。
低年式・多走行車の海外需要は続いているのか。
ニュースを見て仮説を立て、実際のオークションで確認する。
予想と違えば、なぜ違ったのかを考える。
その繰り返しです。

ニュースを、車を売る人の判断材料へ

ニュースに敏感でありたいのは、相場を当てたいからではありません。
市場で何が起きているのかを観察し、それを車を売ろうとしている人の判断材料に変えるためです。
「今、高いですよ」
「今が売り時ですよ」
それだけでは、判断基準にはなりません。
なぜ今の価格なのか。
何が価格を支えているのか。
これから何が変わる可能性があるのか。
そこまで伝えられれば、お客様自身が売却時期を考えられるようになります。
市場を読み、人を知り、判断基準を届ける。
毎週月曜日、この視点から「今週の中古車市場」を観察していきたいと思います。

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