車買取の「販売」を、もう一度ゼロから考えてみる

今、参加している経営スクールで、販売について改めて学んでいます。
そこで繰り返し言われているのが、
プロセス、プロシージャ、トークを磨くこと。
販売を個人の経験や感覚だけに頼るのではなく、
何を、どの順番で進めるのか。
それぞれの場面で、何を確認するのか。
そして、お客さまに何を伝えるのか。
ここまで細かく分解して考えることが大切だという話です。

これを聞いて、改めて自分の車買取の仕事について考えてみました。

車買取で「売っているもの」は何なのか

車買取という仕事は、少し特殊です。

一般的な営業は、商品やサービスを「売る」仕事です。
一方、車買取では、お客さまから車を「買う」。
だから「販売」という言葉に、少し違和感があります。
でも、よく考えてみると、私たちも何かを提供しています。
査定、相場情報、売却タイミング、市場の見方、売却方法。
そして、最終的な意思決定のための情報です。

私は最近、この仕事で提供している一番大切なものは、
「後悔しないための判断基準」ではないか
と考えるようになりました。
車を買い取ること自体が目的なのではありません。

お客さまが、「今売るのか」「まだ売らないのか」
「乗り続けるのか」「次の車を決めてから売るのか」
を、自分で判断できる状態をつくる。
その結果として「売る」が最適な選択であれば、私たちが買い取る。
そんな順番でありたいと思っています。

だから、販売プロセスも変わる

そう考えると、一般的な買取営業とは少し違う販売プロセスになります。
今のところ、私は次の7段階で整理しています。

1.接点をつくる

問い合わせ、紹介、ブログ、SNS、LINEなど。

ここが最初の接点です。
ただ「査定してください」で始まるのではなく、その前からどんな考え方の会社なのかを知ってもらうことも大切だと思っています。

2.現状を把握する

私は、いきなり車を見るより先に知りたいことがあります。
「なぜ今回、査定を受けようと思ったのか」です。
買い替えなのか、車に乗らなくなったのか、車検が近いのか、
維持費が負担なのか、単純に現在の価値を知りたいのか。
理由によって、提案すべき内容は変わります。

3.車両を把握する

ここで初めて、車そのものを詳しく見ます。
年式、走行距離、グレード、装備、外装、内装、修復歴、メンテナンス状況。
同じ車種でも、一台一台条件は違います。
だから査定があります。

4.市場を読む

さらに大切なのが、
「この車を、次に誰が欲しがるのか」
を考えることです。
国内で小売されるのか。業者間で売買されるのか。
オークションへ出るのか。海外へ輸出されるのか。
中古車にはメーカーが決めた定価がありません。
最終的には、その車を欲しいと思う買い手の存在が価格をつくります。
だから私は、車だけではなく、その後ろにある市場を見るようにしています。

5.判断基準を整理する

市場が分かったとしても、それだけでは売るかどうかは決まりません。
ここで必要になるのが、お客さま自身の判断基準です。
価格を最優先するのか。時間なのか。安心なのか。手間を減らすことなのか。
次の車とのタイミングなのか。
人によって正解は違います。
だから市場の正解と、その人にとっての正解を分けて考える必要があります。

6.選択肢を提示し、意思決定を支援する

ここまで整理したうえで、選択肢を考えます。
私は大きく、
「今売る」 「急がない」 「乗り続ける」 「次の車を決めてから売る」
という四つの状態で考えています。
査定を受けたからといって、必ず売らなければいけないわけではありません。

むしろ、「今は売らないほうがいいと思います」
とお伝えすることもあります。
重要なのは、売ることではなく、その人にとって納得できる意思決定をすることだからです。

7.実行し、フォローする

売却すると決めたら、契約、引取、名義変更、入金まで確実に進めます。
売らないという判断になった場合も、それで終わりではありません。
市場は動きます。生活環境も変わります。次の車が決まることもあります。
必要になったときに、また相談していただける関係をつくることも仕事だと思っています。

プロセスだけでは再現できない

そして、ここからが今取り組もうとしていることです。
この7段階のプロセスを決めるだけでは、まだ足りません。
それぞれについて、

PROCESS|何を、どの順番で進めるか
PROCEDURE|その場面で、何を確認し、何をするか
TALK|実際に、どんな言葉で伝えるか
まで落としていく。

例えば「現状把握」であれば、
売却理由、希望時期、次の車、他社査定、家族の意向、何を重視しているのか。
確認すべき項目を決める。
そして、
「売却理由は何ですか?」
ではなく、
「金額を見る前に一つ確認したいのですが、今回そもそも査定を受けてみようと思われたきっかけは何だったんですか?」
というように、実際の言葉まで考える。
ここまでやって初めて、販売が仕組みになるのだと思います。

最後に「道具」を組み合わせる

さらに私は、ここへ「TOOL」を加えたいと思っています。
思想 → PROCESS → PROCEDURE → TALK → TOOL
です。

車売却診断書。相場資料。「四つの状態」。LINE。ブログ。名刺。
これまで一つひとつ作ってきたものを、販売プロセスの中に配置していく。
そうすると、単なる販促物ではなくなります。
すべてが、
「お客さまが自分で判断するための仕組み」
の一部になります。

属人的な仕事を、仕組みに変える

車の査定は、経験がものをいう仕事です。
私自身、現場でお客さまと話しながら、無意識に判断していることがたくさんあります。
でも、それでは人に伝えられません。
再現することもできません。
だから一度、自分が普段やっていることを全部分解してみようと思っています。
なぜ、その質問をするのか。
なぜ、その順番で説明するのか。
なぜ、その相場を見せるのか。
なぜ、売らないほうがいいと伝えることがあるのか。
一つひとつ言葉にしていく。
目指しているのは、
「車を買い取るための営業マニュアル」ではありません。
「お客さまが後悔しない意思決定をするための仕組み」です。
市場を読み、人を知り、判断基準を届ける。
そのために、販売という仕事をもう一度ゼロから組み立て直してみます。

by
関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です