タンザニア向け輸出急増。オークションで「多走行車」を見てみた|市場観察の答え合わせ

昨日のブログで、タンザニア向け中古車輸出が急増していることを書きました。
2026年8月のタンザニア向け中古車輸出は16,920台。
ロシアの18,024台に迫る規模まで増えています。
では、実際にどんな車が買われているのでしょうか。
特に私が気になったのが、年式と走行距離です。
日本国内では、年式が古くなったり、10万kmを超えたりすると、商品車として評価されにくくなることがあります。
一方、海外では車の使われ方も、評価の仕方も違います。
そこで昨日、こんな仮説を立てました。
「国内では評価されにくい低年式・多走行車にも、海外需要によって価格が残っているのではないか」
そして昨日、実際にオークション会場へ行ってきました。
ちょうどいい答え合わせになりました。

まずフォレスターを見てみた

タンザニア向けの中古車市場を見ると、フォレスターは比較的よく見かける車種です。
そこで今日のオークションでもフォレスターを追ってみました。
まず目についたのが、平成29年式の2台です。
1台は3万km、もう1台は9万km。
どちらも評価4点で、2台とも落札されました。
走行距離には約6万kmの差があります。
もちろんグレードや装備、色、車両状態が違うため、距離だけを比較することはできません。
それでも、9万km走っている車にもきちんと買いが入っていることは確認できました。
さらに平成26年式、8.2万km、評価4点のフォレスターも落札。
年式が古くなっても買い手はいます。

一方、高年式フォレスターは流札も多かった

ここが今日、実際に市場を見て面白かったところです。
高年式だからといって、すべて順調に売れていたわけではありません。
平成30年式・1.6万km。
平成30年式・11.8万km。
平成31年式・14.1万km。
平成30年式・15.4万km。
今回確認したこれらの車はいずれも流札でした。
さらに令和3年式で29.6万kmという、かなり走ったフォレスターも流札。
もちろん、流札だから需要がないという意味ではありません。
オークションでは売り手側の希望する水準に届かなければ、買い手がいても流札になります。
それでも、
高年式だから売れる。
低年式だから売れない。
走行距離が少ないから売れる。
多いから売れない。
今日のフォレスターを見る限り、そんな単純な市場ではないことが分かります。

プロボックスを見ると、さらに面白かった

そしてもう一つ見たのが、プロボックスです。
今日の出品は3台だけでした。
令和元年式、9.4万km、評価4点。
平成30年式、12.9万km、修復歴あり。
平成27年式、14.8万km、評価3.5点。
この3台は、すべて落札されました。
特に注目したいのは、12.9万kmと14.8万kmの車です。
10万kmを大きく超えていても、きちんと買い手がついています。
しかも、そのうち1台は修復歴のある車でした。
これだけで「タンザニア向けに買われた」と判断することはできません。
買った業者も、その後の行き先も確認できていないからです。
ただ、少なくとも今日の市場では、
「10万kmを超えても買われる車がある」
ことを確認できました。

フォレスターとプロボックスでは「価値」が違う

今日の市場を見ていて、もう一つ考えたことがあります。
同じように海外で需要のある日本車でも、求められる理由は同じではないのではないか、ということです。
フォレスターには、SUVや4WDとしての価値があります。
一方、プロボックスは仕事に使う車です。
荷物を積める。
丈夫である。
修理しながら長く使える。
こうした「用途としての価値」は、年式や走行距離とは別の評価軸になります。
日本では「15万km近く走っている車」と評価されても、別の国では「まだ仕事に使える車」と評価される可能性があります。
この違いは、査定をするときにとても重要だと思っています。
昨日の仮説は、半分当たり、半分はまだ分からない
昨日私は、タンザニア向け輸出の急増を見て、「低年式・多走行車の価格を海外需要が支えているのではないか」という仮説を立てました。
今日の市場を見る限り、多走行車にも買いが入っていることは確認できました。
特にプロボックスは、10万kmを超えた車や修復歴のある車を含め、今回確認した3台すべてが落札されました。
一方で、それがタンザニア需要によるものなのかは分かりません。
ここは分けて考える必要があります。
今日確認できたのは、
「多走行でも買われる車がある」
という事実です。
「なぜ買われたのか」
「どこの国へ行くのか」
は、まだ仮説です。
私は、この違いを大切にしたいと思っています。

市場を見るとは、仮説を修正し続けること

中古車相場を見ていると、つい答えを求めたくなります。
この車はいくら。
この車種は上がっている。
輸出向けだから高い。
しかし実際の市場は、そんなに単純ではありません。
統計を見る。
仮説を立てる。
オークションを見る。
予想と違うところを探す。
そして、判断基準を少し修正する。
今回も、タンザニア向け輸出が急増しているという一つの数字から始まりました。
そこから「どんな車が買われているのだろう」と考え、実際のオークションでフォレスターとプロボックスを見てみました。
答えが全部分かったわけではありません。
むしろ、新しい問いが増えました。
どの年式まで買われるのか。
何万kmまで買いが残るのか。
SUVと商用車では何が違うのか。
そして、その車は最終的にどこの国へ行くのか。
こういう問いを一つずつ追いかけることが、市場を見るということなのだと思います。
査定とは、相場表から数字を拾うだけの仕事ではありません。
その価格が、なぜそこにあるのかを考える仕事でもあります。
これからも、ニュースや統計から仮説を立て、実際の市場で答え合わせをしていきたいと思います。

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