中古車の出品は増えている。でも、買い手は追いついているのか?|今週の中古車市場

毎週月曜日、中古車市場の動きを確認し、気になったことを実際のオークションで確かめる。
そんな市場観察を続けています。
先週は、タンザニア向け中古車輸出の急増に注目しました。
実際にオークションでフォレスターとプロボックスを調べてみると、10万kmを超えた車にも買いが入っている一方、比較的新しい車でも流札が目立つという結果でした。
もちろん、輸出先まで確認できたわけではありません。
それでも、統計を見て仮説を立て、現場で確かめることで、新しい発見がありました。
さて、今週はもう少し市場全体に目を向けてみたいと思います。

出品台数は増えているのに、成約率は下がっている

今回注目したのは、USSの2026年9月の実績です。
出品台数は329,966台。
成約台数は212,488台。
成約率は64.4%。
平均成約単価は127.5万円でした。
前年同月と比較すると、出品台数は19.2%増加し、成約台数も9.2%増加しています。
しかし、成約率は前年より5.9ポイント低下しました。
平均成約単価も前年を2.2%下回っています。
ここで気になるのは、出品台数と成約台数の増え方に差があることです。
市場に出てくる車は増えている。
しかし、それに見合うだけ買い手が増えているわけではない。
少なくとも、今回の数字からはそのような状況が読み取れます。

成約率が下がるとは、どういうことなのか

中古車オークションでは、出品された車が必ず売れるわけではありません。
買い手がいても、売り手の希望する価格に届かなければ流札になります。
つまり、成約率が下がる理由は一つではありません。
買い手の需要が弱くなっているのかもしれません。
売り手の希望価格が高すぎるのかもしれません。
あるいは、出品される車の種類や状態が変わっているのかもしれません。
だから、成約率が下がったからといって、すぐに中古車相場が崩れていると判断することはできません。
ただ、これまでと同じように売れるとは限らなくなっている可能性があります。
私が気になるのは、まさにここです。

平均単価の低下も、そのまま相場下落とは言えない

9月の平均成約単価は前年同月を下回りました。
これも気になる数字です。
ただし、平均単価は売れた車の構成によって変わります。
高額車の成約が少なくなれば、個々の車種の価格が変わっていなくても平均単価は下がります。
反対に、高額車の比率が増えれば、全体の相場が弱くても平均単価が上がることがあります。
つまり、平均単価は市場全体の温度を知る指標にはなりますが、個別車両の査定価格を決める答えではありません。
成約率と平均単価を組み合わせ、さらに車種別の動きを見る必要があります。

海外需要が強くても、すべての車が売れるわけではない

もう一つ、今週考えておきたいのが輸出市場です。
ロシアや東アフリカでは、日本の中古車に対する需要が続いています。
特に先週取り上げたタンザニアは、8月の輸出台数がロシアに迫る規模となりました。
一方、UAE向けは大きく減少しています。
輸出先によって状況はかなり違います。
さらに、為替や輸入規制、現地の税制、船賃や物流事情によって、海外バイヤーが日本で買える価格も変わります。
円安だから輸出車が高い。
海外で人気があるから売れる。
そう単純に考えることはできません。
今週のUSSの数字を見ると、輸出需要が存在していても、市場全体の成約率を押し上げるほどにはなっていない可能性があります。
ただし、これはあくまで市場全体の数字から考えた仮説です。
車種によって状況は違うはずです。

今週の仮説。売れない車が増えているのはなぜか

そこで、今週はこんな仮説を立ててみました。
「出品台数が増える中で、買い手は車両の条件や価格を、これまで以上に慎重に選んでいるのではないか」
もしそうであれば、同じ車種でも、年式や走行距離、評価点、グレードによって成約状況に違いが出てくるはずです。
さらに、輸出需要のある車と国内小売中心の車では、買われ方が違うかもしれません。
そして、流札した車でも、応札が弱かったのか、それとも売り手の希望価格に届かなかっただけなのか。
ここも見てみたいと思います。
先週のフォレスターでは、比較的新しい車にも流札が目立ちました。
一方、プロボックスは多走行車を含めて3台すべて落札されました。
もちろん、これだけで車種の強弱を判断することはできません。
だからこそ、同じような傾向が繰り返し現れるのかを確認する必要があります。

今週のオークションでは何を見るのか

今週は、次の3つを意識して市場を観察したいと思います。
一つ目は、流札車両の特徴です。
年式が新しくても流札する車は、どんな条件なのか。
二つ目は、多走行車の成約状況です。
10万km、15万km、20万kmと走行距離が伸びても、買いが残る車種は何なのか。
三つ目は、売り手と買い手の価格認識の違いです。
応札が入っていても売り切れない車が増えているのか。
ここを確認することで、成約率低下の背景が少し見えてくるかもしれません。

相場が変わるとき、最初に何が起きるのか

私は、ここが今週の一番大きなテーマだと思っています。
中古車相場が変化するとき、必ずしも最初に落札価格が大きく下がるわけではありません。
買い手が慎重になる。
売り手の希望価格に届かなくなる。
流札が増える。
その後、売り手側の価格認識が変わっていく。
そんな順番で市場が動くことも考えられます。
もちろん、今回のUSSの数字だけで、その段階に入ったと断定することはできません。
ただ、出品台数が増え、成約率が下がり、平均単価も前年を下回ったという組み合わせは、注意深く観察する価値があります。
お客様に査定価格をお伝えするときも、直近の落札価格だけではなく、その価格が今後も成立しそうなのかを考える必要があります。
車を売るタイミングを判断するうえでも、大切な視点だと思います。

今週も、現場で答え合わせをしてみます

中古車市場の数字を見ると、いろいろな仮説が浮かびます。
しかし、数字だけでは分からないこともあります。
実際にどんな車が出品され、どんな車が落札され、どんな車が流札しているのか。
その積み重ねによって、少しずつ市場の変化が見えてきます。
今週のテーマは、
「出品台数の増加に、買い手は追いついているのか」
ということです。
成約率の低下は、需要の弱さなのか。
売り手と買い手の価格認識のズレなのか。
それとも、車種ごとの選別が進んでいるのか。
次のオークションで、また確かめてみたいと思います。
市場を読み、人を知り、判断基準を届ける。
今週も、そんな視点で中古車市場を観察していきます。

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