131万円で流れた車が170万円で売れた。相場データには残らない39万円

中古車のオークションでは、同じ車でも価格が大きく変わることがあります。
会場が違えば、買い手も違う。開催日が違えば、応札状況も違う。
そんなことは日頃から感じていますが、今回はなかなか経験できない出来事がありました。
131万円で流れた車が、その日のうちに170万円で売れたのです。
その差、39万円。
しかも、この車は今回が3回目の出品でした。

低走行のCX-8。ところが評価点は3.5

今回の車は、2018年式のマツダCX-8 XD Lパッケージ。
走行距離は約2.2万km。レザーシートの状態もよく、装備も充実しています。
仕入れの段階では、過去のオークションデータを調べ、180万〜190万円程度で売却できるのではないかと考えていました。
ところが、最初の出品で思わぬことが起こります。
オークション会場の検査評価が3.5点だったのです。
理由は、外装の凹みが多いというもの。
しかし、実車を見る限り、ほとんど気にならない程度の凹みでした。
もちろん検査には基準があります。自分の感覚だけが正しいとは思いません。
それでも、どうしても納得できませんでした。
そして、最初の出品では希望する価格に届かず、流札となりました。

再検査で4点に。しかし価格はさらに下がった

そこで再検査を依頼しました。
結果は4点。
やはり、評価には見直す余地があったわけです。
ところが、3回目の出品となった日のセリでは、131万円までしか応札が入りませんでした。
以前より評価点が上がったにもかかわらず、価格はむしろ下がってしまったのです。
さすがにおかしい。
改めてオークションのデータを確認してみると、驚くことがわかりました。
出品票は4点なのに、検索画面の評価点は3.5のままだったのです。
すぐにオークション会場へ確認したところ、先方の反映ミスであることが判明しました。
その後、データは4点に修正されました。
買い手が事前に何を見て、どのように判断していたのか。
それを完全に把握することはできません。
ただ、評価点という情報が、買い手の判断に大きく関わることは間違いありません。

別会場への再出品を決意

ここまで来ると、別の会場で試してみたいという気持ちが強くなりました。
別会場の過去データを調べると、同じ年式、同じグレードで、4点や4.5点の車が比較的高い価格で落札されている事例がありました。
もちろん、過去の落札価格がそのまま再現されるわけではありません。
それでも、試してみる価値はありそうです
今の会場から車を搬出し、自分で東京まで運び、新たに検査を受ける。
一日仕事になります。
それでも、少し楽しみになっていました。
買取業者としては苦しい案件ですが、市場を観察する立場としては、これほど興味深いケースもなかなかありません。

ところが、商談が入った

そんなことを考えていたところ、流札した車に商談が入りました。
最初に提示された金額は148万円。
131万円で流れた車に、17万円高い金額で買いたいという業者が現れたのです。
評価点のデータが間違っていることもオークション会場の人に伝えてもらいました。
こちらも希望額を変更し、最終的には170万円で返答しました。
結果、
170万円で商談成立。
なんと、売れてしまいました。
131万円で流れた車が、同じ日に170万円で売れたのです。

39万円の差はどこから生まれたのか

今回の価格差には、いくつもの要因が考えられます。
評価点の表示ミスが応札に影響した可能性。
セリには参加しなかった買い手が、商談で購入を希望した可能性。
低走行や装備を高く評価する買い手が現れた可能性。
ただし、どの要因がどれだけ価格に影響したのかはわかりません。
ここで大切なのは、131万円というセリの結果だけを見て、この車の市場価値を判断することはできなかったという事実です。
一方、170万円で売れたからといって、必ずしもそれが唯一の正しい相場というわけでもありません。
別の会場なら、もっと高かったかもしれない。
反対に、もっと安かったかもしれない。
市場とは、そういうものなのだと思います。

相場を見るのではなく、市場を見る

私は日頃から、中古車の相場と買取金額は別物だとお伝えしています。
相場データは重要です。
しかし、そこに表示される数字は、さまざまな条件のもとで成立した取引の結果にすぎません。
誰が買ったのか。
なぜその価格まで応札したのか。
どのような情報をもとに判断したのか。
そして、買わなかった人はなぜ買わなかったのか。
こうした背景までは、落札価格の一覧からは読み取れません。
今回のCX-8は、まさにそのことを教えてくれました。

今思えば、人間は欲が出るもので、
別会場ではもっと高値で売れたのではないかと思わなくもないです。
それでも、別会場まで運ぶ手間や時間、再出品の費用、在庫を持ち続けるリスクを考えれば、170万円で決着させることにも意味がありました。

市場観察という点では、別会場での結果も見てみたかった。
しかし、経営者としては、実働が減って少しホッとしたのも事実です。
高く売れる可能性を追い続けることと、今ここで売ること。
どちらを選ぶかも、ひとつの意思決定です。
中古車の価格は、単純な数字だけでは語れません。

だからこそ、これからも一台一台の車を通じて、市場を観察し続けたいと思います。
相場を見るのではなく、市場を見る。
今回の39万円の差は、その大切さを改めて教えてくれました。

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