【小規模事業経営】小さな買取店が大手に勝つSNS戦略
車買取業者のSNSを見ていると、ある共通点に気づきます。
「○○を買取しました」「ご成約ありがとうございました」
「高価買取します」「地域最高値を目指します」
もちろん、買取事例を発信することは悪いことではありません。
どんな車を扱っているのか。
どんな実績があるのか。
お客様に安心してもらうためにも必要な情報です。
でも、私はいつも少し疑問に思います。
それだけで、読み手のためになっているのだろうか。
そして、小さな買取店が大手と同じような発信をして、本当に勝てるのだろうか。
私はむしろ、小さな会社だからこそできるSNS戦略があると思っています。
大手と同じことをしても勝てない
大手買取会社には、大きな広告予算があります。
テレビCMを流す。
ネット広告を出す。
一括査定サイトから大量に集客する。
全国に店舗をつくる。
小さな買取店が、この土俵で真正面から戦うのは簡単ではありません。
SNSでも同じです。
大手と同じように、
「高価買取」
「買取強化中」
「○○を買い取りました」
と発信し続けても、資金力や知名度の差をひっくり返すのは難しい。
では、小さな買取店は何を発信すればいいのでしょうか。
私は、
「自分たちは、どういう考え方で車を買い取っているのか」
を発信すればいいと思っています。
お客様が知りたいのは買取実績だけなのか
車を売る人の立場になって考えてみます。
もちろん、
「この会社は自分と同じ車種を買い取ったことがあるのか」
は気になるでしょう。
でも、本当に知りたいのはそれだけではないはずです。
この会社は信用できるのか。
査定額はどうやって決めているのか。
なぜ会社によって金額が違うのか。
今売るべきなのか。
もう少し乗っていてもいいのか。
契約したあとに減額されることはないのか。
そして、
どんな人が自分の車を査定するのか。
車は、多くの人にとって大きな資産です。
長年乗ってきた思い入れのある車かもしれません。
だから最後は、
「どこに売るか」だけでなく、
「誰に任せるか」
が重要になる商売だと思っています。
買取実績は真似できる
「プリウスを買い取りました」「アルファードを買い取りました」
「走行10万kmでも買取可能です」こうした投稿は必要です。
ただ、競合他社も同じことができます。
写真も真似できます。
投稿の構成も真似できます。
「地域密着」
「高価買取」
「丁寧な査定」
という言葉も、誰でも使えます。
では、何が真似できないのか。
それが、
経営者自身の経験と判断基準です。
判断基準はコピーできない
私は日々、実際の査定現場に出ています。
オークション相場を見ます。
海外需要を見ます。為替を見ます。
お客様から他社の査定額を聞くこともあります。
成約できることもあれば、できないこともあります。
「この車は今売ったほうがいい」
と思うこともあれば、
「今すぐ売らなくてもいいのでは」
とお伝えすることもあります。
こうした一つひとつの経験から、
「この場合は何を見るべきか」
という判断基準ができていきます。
それを発信する。
これは簡単には真似できません。
なぜなら、その人自身が経験していなければ書けないからです。
事業主の「考えていること」を発信する
もう一つ、大切だと思っていることがあります。
それは、
どんな気持ちで仕事をしているのかを伝えること。
なぜ、この仕事をしているのか。
お客様に何を提供したいのか。
どんな取引はしたくないのか。
査定するときに何を大切にしているのか。
成約できなかったときに何を考えるのか。
市場が動いたときにどう考えるのか。
こうしたことも、私は積極的に発信していいと思っています。
むしろ、小さな会社ほど発信したほうがいい。
大手企業では、会社の中にいる一人ひとりが何を考えているのかまでは、なかなか見えません。
小さな会社は違います。
経営者の顔と考え方を、そのまま会社の信用にできる。
これは小さな会社の弱みではなく、強みです。
SNSは集客媒体だけではない
SNSというと、
フォロワーを増やす。
インプレッションを増やす。
問い合わせを増やす。という話になりがちです。
もちろん、それも大切です。
でも、車買取事業におけるSNSの役割は、それだけではないと思っています。
私は、
「査定に伺う前から信頼関係をつくる場所」
だと考えています。
お客様が査定を依頼する前に、
ブログを読んでいる。
Xを見ている。
普段の考え方を知っている。
どんな査定をする人なのか理解している。
そんな状態をつくることができれば、初めて会ったときの関係はまったく違います。
「知らない買取業者が来た」ではなく、
「いつも発信を読んでいる人が来た」
になるからです。これは大きな違いです。
売るためではなく、選んでもらうために発信する
SNSで毎日、
「車を売ってください」
と言い続けても、読む側は疲れてしまいます。
私はむしろ逆だと思っています。
売ってもらうために発信するのではない。
自分たちの考え方を知ってもらい、その考え方に共感する人から選んでもらうために発信する。
そのためには、買取事例だけでは足りません。
市場について発信する。相場について発信する。
査定の仕組みを発信する。失敗事例も発信する。
お客様が迷いやすいポイントを発信する。
そして、自分たちが大切にしている判断基準を発信する。
こうした情報が積み重なって、
「この人に相談してみよう」
につながっていくのだと思います。
小さな会社だからこそ「人」を出せる
大手には大手の強さがあります。
小さな会社には小さな会社の強さがあります。
私は、その最大の一つが、
経営者自身が前に出られること
だと思っています。
何を考えているのか。何を学んでいるのか。
市場をどう見ているのか。お客様とどう向き合っているのか。
どんな失敗をして、そこから何を学んだのか。
そこまで見える会社は強い。
価格だけで比較されにくくなるからです。
「一番高い会社に売る」
という比較から、
「この人に相談したい」
という選択に変わっていきます。
小さな会社が目指すべきなのは、ここなのかもしれません。
情報発信とは、判断材料を開示すること
私は、情報発信とは自分を良く見せるためのものではないと思っています。
相手が判断するための材料を開示する行為です。
自分はこう考えている。
こういう場合はこう判断する。
こういう仕事はする。こういう仕事はしない。それを日々発信する。
すると、お客様も、
「この人とは考え方が合いそうだ」
「この人なら相談できそうだ」
あるいは逆に、
「自分には合わない」
と判断できます。
それでいいと思っています。
すべてのお客様から選ばれる必要はありません。
考え方を開示したうえで、自分たちを必要としてくれる人から選ばれる。
小さな会社だからこそ、その戦い方ができます。
小さな買取店が発信すべき4つのこと
私は、買取店のSNS発信を大きく4つに分けて考えています。
1 実績
どんな車を買い取っているのか。
どんなお客様と出会っているのか。
2 専門性
中古車市場で何が起きているのか。
なぜ相場が動いているのか。
国内需要、海外需要、為替、物流などをどう見ているのか。
3 判断基準
今売るべきなのか。
査定額をどう比較するのか。
何社に依頼すればいいのか。
契約前に何を確認すべきなのか。
4 思想
なぜこの仕事をしているのか。
何を大切にしているのか。
どんな会社にしたいのか。
どんな仕事はしたくないのか。
この4つを積み重ねる。
そうすればSNSは単なる「買取実績一覧」ではなくなります。
その会社の考え方そのものが蓄積されたメディアになります。
小さな会社は「発信量」ではなく「解像度」で勝つ
大手より広告費を使う必要はありません。
大手より大量に投稿する必要もない。
大切なのは、
自分たちにしか書けないことを書くこと。
今日の査定で何を感じたのか。
市場を見て何が変わったと思ったのか。
お客様の迷いから何を学んだのか。
なぜその判断をしたのか。
現場にいる人間だからこそ分かることを、言葉にして残していく。
その解像度は、大量の広告では簡単に作れません。
私はそこに、小さな買取店がSNSを使う意味があると思っています。
最後に
これからの車買取は、
「いくらで買います」
だけでは、ますます差別化が難しくなると思います。
価格は重要です。
でも価格だけでは、その会社を選ぶ理由にはなりにくい。
だからこそ、何を知っているか。
何を見ているか。
どう判断しているか。
何を大切にしているか。
それを発信する。
買取実績は真似できる。 判断基準や思想は真似できない。
小さな買取店が大手と同じ土俵で戦う必要はありません。
自分たちの経験を言葉にし、判断基準を開示し、信頼を積み重ねる。
そして、
「車を売るならこの会社」ではなく、「車のことならまずこの人に相談したい」
と思ってもらう。
それが、小さな買取店だからこそできるSNS戦略だと思っています。













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