「お客、もういらねー」の裏側

中国整体に月に2〜3回通っている。その時の話。自分の時間の前に中年の男性が施術に来ていた。終わりに先生との会話の中で「あー、お客、もういらねー」という言葉が聞こえてきた。どういうこと?と思って耳を傾けていたら。。どうやら近所の飲食店の店主らしい。その店は高級というよりも昔から地元に人に愛されている大衆食堂といった感じの店だ。いつも昼から賑わっている。自分も5〜6回行ったことがある。そこがかつてテレビで取り上げられていたことは知っていたのだけど、それが再放送になり、またお客さんが押し寄せているらしいことがわかった。それにうんざりしての言葉だったのだ。それにしても、だ。そんな気持ちで仕事をしていいことあるかなと思うし、カーテンの向こうにはお客がいるかもしれないということを忘れている。

そんなときに、飲食店を経営していた友人のことを思い出した。テレビで取り上げられた直後の店にはいかないほうがいい、と彼が言っていたのだ。テレビに出たというだけで、どんな店がわからず、とりあえず来る人が多くて、対応も横柄だったりする、と。その人の店がテレビに出た翌日、開店前に数人待っていて、開店時間を早めてくれ、と言われたとか。どうせそんな人たちは2回とはこない。一回行ってみて、そのことをSNSで投稿したい人たちだ。でもちょっと気に入らないことでもあると、口コミに書いたりする。たしかに面倒という気持ちもわからないではない。

自分の地域で仕事をするようになって、人のつながりを意識するようになった。誰もが知り合いみたいな感覚になるのだ。つまり、どこで誰から見られているかわからないということだ。その緊張感が自分の中の常識になって仕事ができるのはいいことだなと思ったりもする。会社員ではまったく感じなかった感覚だ。ただ、やっぱり仕事なので楽しいことばかりではなく、ときに愚痴りたくときもある。でもそれは地元の店で言ったら駄目だよねと思う。あの店へはしばらくは遠ざかってしまいそう。あの店主の声が残っている。

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