円安でも車は高く売れるとは限らない。いま中古車市場で本当に起きていること。
「円安だから車が高く売れるんですよね?」
最近、お客様からよく聞かれる質問です。
たしかに、円安は日本の中古車輸出にとって追い風です。
海外のバイヤーから見れば、日本の車が相対的に安く買えるため、輸出需要が高まりやすくなります。
しかし、2026年の市場を見ていると、答えはそれほど単純ではありません。
今、中古車市場では、「円安」という追い風と、「物流」という逆風が同時に吹いています。
円安なのに、なぜ強気になれないのか。
中古車は世界中へ輸出されています。
日本で買われた車は、UAEを経由してアフリカへ向かったり、
ロシアや中央アジアへ直接輸出されたりします。
つまり、中古車相場は、日本国内だけでは決まりません。
ところが現在、中東ではホルムズ海峡や紅海周辺の緊張が続き、
船便や保険料、物流コストに大きな影響が出ています。
車を「買いたい人」がいても、「運べない」ことがあるのです。
ここが、多くの人が見落としやすいポイントです。
相場は、為替だけでは動かない。
市場を見るときに、私が意識している順番があります。
為替が動く。そのあとに、輸出需要が変わる。さらに、オークション相場が変わる。そして最後に、買取価格へ反映される。
ニュースを見て「円安だから今日から高く売れる」と考えるのは、この途中を飛ばしてしまっています。
市場には必ずプロセスがあります。
その流れを理解しているかどうかで、判断は大きく変わります。
UAEが弱い。本当にそうでしょうか。
最近の統計では、UAE向け輸出台数は大きく減っています。
数字だけを見ると、「中東人気が落ちた」と思ってしまうかもしれません。
でも、私はそうは見ていません。
UAEは、日本車を世界へ送り出す中継地点でもあります。
もし物流が止まれば、数字は下がります。
つまり、需要がなくなったのか。
それとも、運べなくなったのか。
この二つは、まったく別の話です。
数字だけでは市場は読めません。
背景まで見ることが大切です。
だから私は、相場だけでは査定しません。
査定では、
- 円相場
- オークションの落札状況
- どの国が買っているか
- 船積みの状況
- 地政学リスク
これらを一つずつ確認しています。
同じランドクルーザーでも、出口となる国が違えば価値は変わります。
同じハイエースでも、輸出需要が強い週と弱い週があります。
だから、「相場はいくらですか?」という質問に、一言では答えられないのです。
相場を見るのではなく、市場を見る。
私は車を査定していますが、本当に見ているのは市場です。
世界で何が起きているのか。
その変化が、オークションにどう表れ、買取価格にどうつながるのか。
その流れを理解することが、お客様にとっての「後悔しない判断」につながると考えています。
今日の判断基準
「円安だから高く売れる」ではなく、「円安は、世界市場を動かす一つの要素に過ぎない」。
車の価値は、一つのニュースでは決まりません。
世界はつながっています。
そして、その「どうつながっているのか」を知ることが、後悔しない売却への第一歩なのです。













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