車売却診断書を11枚つくって見えてきたこと|人によって「正しい売り方」はこんなに違う
車売却診断書を作り始めて、11枚になりました。
100枚を目標にしているので、まだ11枚。
数字だけ見れば、始まったばかりです。
でも、実際に11人のお客様に書いていただき、査定をして、
相場を調べ、話をしてきたことで、すでにいくつか見えてきたことがあります。
一番大きいのは、
同じ「車を売る」という行為でも、人によって判断基準は本当に違う
ということです。
今日は、11枚の車売却診断書から見えてきたことを、一度整理してみたいと思います。
そもそも、なぜ診断書を作ったのか
一般的な車の査定では、
車を見る。相場を調べる。金額を提示する。
そして、
「売りますか?」
という流れになりがちです。
もちろん、買取店なので査定額を提示することは必要です。
でも私は以前から、
査定額だけで、お客様は本当に判断できるのだろうか
と考えていました。
車を売る理由は人によって違います。
買い替え。相続。家族構成の変化。維持費。車検。
単純に今の価値を知りたい。
そして、何を大切にするかも違います。
金額。安心感。スピード。手続きの簡単さ。売却するタイミング。
だったら、車を見る前に、
その人が何を考えているのかを知った方がいい。
そこで作ったのが「車売却診断書」です。
11枚で一番感じたこと。「金額」がすべてではない
もちろん、金額を一番重視する方はいます。
実際、診断書にもはっきり「金額」とチェックする方がいます。
最近では、知り合いの方に書いていただいたところ、迷わず「金額」でした(笑)。
知り合いだから安心感を重視してくれるだろう。
そんなふうにこちらが勝手に思い込んではいけないということです。
一方で、
「安心感」を重視する人もいる。「タイミング」を気にする人もいる。
次の車との兼ね合いを一番大切にする人もいます。
先日査定したお客様は、
金額、スピード、タイミングを重視されていました。
市場を確認すると、相場は比較的安定している。
そこで、
「相場は安定しているので、『今日決めてください』みたいな話に乗らなくても大丈夫ですよ(笑)」
とお伝えしました。
そのとき、お客様の表情が少し緩んだのが印象に残っています。
高い金額を提示することだけが価値ではない。
安心して考えられる状態をつくることも、意思決定支援なんだ
と感じた瞬間でした。
診断書は「アンケート」ではなかった
11枚使ってみて、診断書に対する自分の認識も変わりました。
最初は、お客様の考えを知るためのヒアリングシートという感覚が強かったと思います。
でも今は違います。
診断書は、
商談のプロセスそのもの
になりつつあります。
まず、お客様の状況を知る。
車を見る。市場を調べる。選択肢を整理する。
自分の見立てを伝える。
そして、その根拠として査定額を提示する。
最近は、
「判断基準をお渡ししている」
というより、
観察したこと、考えられる選択肢、自分の意見、その根拠を順番に伝えている
という感覚の方が近くなっています。
その過程を通して、結果的にお客様自身の判断基準が整理されていく。
そんなイメージです。
「なぜその金額なのか」を伝える
車買取の世界では、
「○○万円です」「今日までです」
だけで商談が進むこともあります。
でも、お客様からすれば、
なぜその金額なのか。
なぜ今日までなのか。
そこが分からなければ、判断しようがありません。
私は最近、査定額そのものより、
査定額の裏側にある根拠をどう伝えるか
をかなり意識するようになりました。
市場を見る。類似車両を見る。年式を見る。
走行距離を見る。評価点を見る。グレードを見る。
色を見る。装備を見る。市場の変化を見る。
そのうえで、
「私はこの車をこう見ています」
とお伝えする。
分からないことがあれば、その場で無理に答えないこともあります。
先日の査定では、ある特殊装備の事例をもう少し調べたかったので、
「事例をリサーチしてからお返事します」
と診断書に書きました。
これは返答を先延ばしにしているのではありません。
自分の査定額の根拠をつくる時間
です。
全部即答できることより、根拠を持って答えられることの方が大切だと思っています。
診断書に書いた価値観どおりに、人は動くこともある
少し苦い経験もありました。
「金額」を最重視していたお客様。
こちらの金額で売却するとお話しいただいた後、
他社からさらに高い金額が提示され、結果的にそちらへ売却されました。
そのときは残念でした。
ただ、後から考えると、
お客様は最初から診断書に「金額」と書いていた。
つまり、
その人は自分の判断基準どおりに行動した
とも言えます。
診断書はちゃんと、その人の価値観を捉えていたわけです。
この経験から、売却意思が固まった後の確認プロセスについても改善点が見えました。
人を変えることはできない。
でも、自分たちのプロセスは改善できます。
これも11枚の中から得た大きな学びです。
「今売らない」という診断もある
買取店なので、車を買わせていただければ当然ありがたいです。
でも診断書を使っていると、
「今売った方がいい」
だけが結論ではありません。
乗り続けてもいい。
急がなくていい。
次の車を決めてからでいい。
そんな診断もあります。
これは、自分自身にとっても大きな変化でした。
「査定に呼ばれたから買う」
ではなく、
その人にとって今どうするのがよいのかを考える。
売却しないことが最適なら、そう伝える。
それが結果的に信頼につながるのだと思います。
2年前のお客様が戻ってきた
11枚の中には、2年前に一度お問い合わせいただいた方もいました。
そのときは売却されませんでした。
でも今回、次の車が決まったタイミングで、改めて連絡をいただきました。
電話がかかってきたとき、
以前は話した内容が蘇ってきました。
車やお住まいの場所、雑談の内容も
記憶にあったのです。
メモアプリで管理することがよりその記憶を持続させると思います。
車は毎年売るものではありません。
2年後かもしれない。5年後かもしれない。
だから、
成約しなかったお客様=終わったお客様
ではない。
記録を残す。接点を残す。
必要なときに思い出してもらえるようにする。
診断書を始めてから、LINEに登録してくださったり、
後日結果を報告してくださったりする方も増えました。
診断書は、査定のためだけではなく、
その後の関係をつくる接点
にもなり始めています。
生成AIから来てくださったお客様も
さらに最近、驚いたことがあります。
査定に来てくださったお客様に、
「どうやって当店を知ってくださったんですか?」
と聞いたところ、
「ChatGPTに相談したら出てきました」
と言われました。
しかも、一度ではありません。
これまでブログを書き続け、
相場のこと。市場のこと。車を売るタイミング。判断基準。
後悔しない売り方。
そんなことを発信してきました。
今までは、人に読んでもらうための発信だと思っていました。
でもこれからは、
AIが情報を読み、その人に合いそうな相談先としてつないでくれる
ということも起きるのかもしれません。
発信を積み重ねる意味が、また一つ増えました。
11人を見て、ますます「人」を見る仕事だと思う
車買取なので、もちろん車を見ます。
傷。凹み。年式。距離。装備。修復歴。
そして市場も見ます。
でも11枚の診断書を並べてみると、結局一番違うのは、
「人」です。
同じ車でも、
「少しでも高く」
という人がいる。
「安心して任せたい」
という人がいる。
「今は急がなくていいなら待ちたい」
という人がいる。
次の車とのタイミングを一番大切にする人もいる。
だから、正しい売り方は一つではありません。
私はこれからも、市場を観察する。車を見る。
人の話を聞く。選択肢を整理する。
自分の見立てと、その根拠を伝える。
そして最後は、
その人自身に判断してもらう。
そんな査定を続けたいと思っています。
診断書の目標は100枚。ようやく11枚。
まだ89枚あります。
でも11枚だけでも、これだけ違う判断を見ることができました。
100枚集まったとき、
人は車を売るとき何を大切にしているのか。
どんなときに売り、
どんなときに待つのか。
何に不安を感じ、
何があると安心して決められるのか。
今よりずっと多くのことが見えているはずです。
診断書を集めること自体が目的ではありません。
一人ひとりの意思決定を観察し、そこから学ぶこと。
そして、その学びをまた次のお客様へ返していくこと。
11枚目まで来て、車売却診断書の意味が、作り始めたときよりずっとはっきりしてきました。
100枚まで、まだまだ続けます。










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