古いのに高い車、安い車。ホンダ・クロスロードの査定が難しい理由
中古車の査定をしていると、相場を読みやすい車と、そうでない車があります。
今回取り上げたいのは、ホンダ・クロスロードです。
すでに生産を終了して長い年月が経過していますが、今でも意外な高値で取引されることがあります。
一方で、同じ年式でも、驚くほど安い価格で落札される車もあります。
最近のオークション結果を比較してみると、特に走行距離や車両状態、駆動方式によって評価が大きく分かれていました。
状態の良い4WDには強い買いが入る一方、走行距離の多い車には厳しい評価も見られます。
ただし、4WDだから必ず高いというわけでもありません。
この違いは何なのか。
実は、私自身も査定に迷うことがある車種です。
なぜ、これほど価格が違うのか
クロスロードは、少し特殊な車だと思います。
四角いデザイン、比較的コンパクトなボディ、3列シート。
現在のSUVとは違った魅力があります。
生産が終了しているため、状態の良い車が今後増えることもありません。
国内では、クロスロードをリフトアップしたり、オフロード仕様にカスタムしたりして販売する専門店もあります。
つまり、単に移動手段として選ばれる車ではなく、デザインや雰囲気を気に入って購入する人たちがいるわけです。
こうした需要が、状態の良い個体の価格を押し上げている可能性があります。
一方、海外でもクロスロードは販売されています。
そこで、一つの仮説が浮かびました。
国内の趣味・カスタム需要が良質車の高値を作り、海外需要が高走行車の下値を支えているのではないか。
もちろん、まだ仮説です。
輸出向けにどれほどの台数が取引されているのか、どの国で、どの仕様が求められているのか。そこまでは確認できていません。
それでも、国内と海外で異なる買い手が存在する可能性を考えることには、大きな意味があります。
中古車の価格は、車そのものの状態だけでは決まりません。
その車を、誰が、何のために欲しがっているか。
そこまで考える必要があります。
安く買うことが、正しい査定なのか
クロスロードのような車は、買取業者にとって難しい存在です。
相場の幅が大きい。
買い手が限られる可能性がある。
仕入れても、想定した価格で売れるとは限らない。
だから、リスクを考えて安めの査定額を提示する。
その判断は、買取業者として理解できます。
私自身も、同じように考えることがあります。
ただ、そこで一つ疑問が生まれます。
安く買えば安全かもしれない。でも、それはお客様にとって適正な評価なのだろうか。
もちろん、高い落札事例があるからといって、すべてのクロスロードに高値を付けられるわけではありません。
100万円で落札された車と、目の前の車は違います。
むしろ、高値の事例だけを見て査定することも危険です。
大切なのは、なぜ高い車が高く、安い車が安いのかを考えること。
その違いを説明できなければ、適正な査定には近づけません。
相場が分からないことを認める
正直に言えば、私にも適正価格がよく分からないときがあります。
特に、今回のクロスロードのような車です。
オークションの落札結果を何台も比較しても、明確な答えが出ないことがあります。
それでも、分からないから安く査定して終わり、にはしたくありません。
走行距離なのか。
車両状態なのか。
グレードや駆動方式なのか。
色や装備なのか。
それとも、国内小売と輸出という販売先の違いなのか。
一つひとつ可能性を考えていく。
そうした積み重ねが、査定の判断基準を育てるのだと思います。
買取業者の仕事は、金額を付けることだけではない
私は以前から、中古車の相場を見るときに「出口」を意識しています。
国内小売、業者間取引、輸出、部品需要など、車にはさまざまな販売先があります。
どの出口で評価されるかによって、同じ車でも価値が変わります。
クロスロードは、そのことを考えるうえで、とても面白い車種です。
ただし、私たち買取業者がすべきことは、最高落札価格を追いかけることだけではありません。
お客様の車が、どの市場で、どの程度評価される可能性があるのか。
その根拠と不確実性を整理し、納得できる判断材料を提供することです。
高く売れる可能性があれば、その理由を調べる。
リスクがあれば、それも説明する。
場合によっては、他の売却方法を検討していただくことも必要でしょう。
相場が読みにくい車ほど、査定する側の姿勢が問われる。
今回のクロスロードの落札結果を見ながら、改めてそう感じました。
これからも、こうした価格のズレを見つけたら、その理由を考えていきたいと思います。
相場は答えではありません。
相場をどう読み、どう判断するか。そこに買取業者の価値があるのだと思います。











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