「この車、まだ乗れますか?」という難しい質問

査定をしていると、ときどき聞かれます。
「この車、まだ乗れますか?」。一見すると、車の状態についての質問です。
でも私は、この質問には別の意味が隠れているように感じています。

本当に知りたいのは、「もう乗れないですよね?」なのか。
それとも、「まだまだ乗れますよ」と言ってほしいのか。
その人によって違うからです。

車はお金をかければ乗り続けられる

極端に言えば、部品の供給が続く限り、車は修理しながら乗ることができます。
エンジンも、ミッションも、足回りも、お金をかければ直せます。
だから、「まだ乗れますか?」という問いに対して、
「乗れます」と答えることはできます。
でも、それでは答えになっていないことが多いのです。

本当の問題は修理代ではない

その問いの奥には、「そこまでお金をかける価値があるのだろうか」
という気持ちがあります。

たとえば、50万円かけて修理するなら買い替えよう。
30万円なら直そう、10万円ならまだ乗ろう。
その基準は人それぞれです。

家族構成、生活スタイル、今後何年乗りたいのか、車への思い入れ。
すべて違います。だから、正解はありません。

私が考える査定の役割

私は買取業者ですが、「そろそろ売りましょう」
と決めつけることはありません。修理して乗り続ける方がいい場合もあります。
逆に、今売った方が合理的な場合もあります。
だから私がお伝えしたいのは答えではなく、判断するための材料です。
修理にいくらかかるのか。今後発生しやすい不具合は何か。今売るといくらなのか。
1年後にはどうなりそうか。それらを整理した上で、ご本人に判断していただく。
それが私の仕事だと思っています。

「まだ乗れますか?」の答え

結局のところ、「この車、まだ乗れますか?」という問いは、
車についての質問ではありません。その人自身の判断基準を問う質問なのです。

だから私は、「まだ乗れます」とも、
「もう買い替えですね」とも簡単には言えません。
車を見る仕事。でも本当に見ているのは、その人が後悔しない判断をするために、何が必要なのか。
そこなのだと思っています。

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