新車販売ランキングを、中古車買取店はどう見るのか?

2026年10月の乗用車ブランド通称名別順位が発表されました。
日本自動車販売協会連合会のデータを見ると、1位はヤリスで15,157台。続いてシエンタ10,730台、カローラ10,551台となっています。
前年比を見ると、さらに興味深い車種があります。
シエンタは133.8%、ジムニーは153.8%、ランドクルーザーは163.4%、アクアは177.6%、フォレスターは261.8%。
キックスは551.5%、bZ4Xは284.1%となっています。
こうしたランキングを見ると、「今、どの車が売れているのか」が分かります。
ただ、中古車の買取をしている私がこの数字を見るときは、少し違う見方をします。

新車が売れると、中古車が市場に出てくる

新車が1台売れたとき、その裏側では何が起きているでしょうか。
初めて車を買う人もいますが、今乗っている車から買い替える人もたくさんいます。
つまり、新車販売が増えるということは、それまで乗られていた車が下取りや買取に出される可能性も高くなるということです。
新車販売
↓
乗り換え
↓
下取り・買取
↓
中古車市場への流入
という流れです。
そのため、私は新車販売ランキングを見るとき、「何が売れているのか」だけではなく、「これから何が中古車市場に出てくるのか」という視点でも見ています。

中古車が増えれば、価格は下がるのか?

では、新車がたくさん売れて中古車市場への流入が増えれば、その車の中古車価格は下がるのでしょうか。
ここが中古車相場のおもしろいところです。
そんなに単純ではありません。
中古車の価格は、基本的には需要と供給で決まります。
市場に出てくる車が増えても、それ以上に欲しい人がいれば価格は維持されます。
逆に、それほど需要がないところに大量の中古車が出てくれば、価格には下落圧力がかかります。
つまり、
「新車販売が増えた=中古車価格が下がる」
とは限らないのです。

新型車が売れると、旧型車にも動きが出る

モデルチェンジも重要です。
新型車が発売されて販売台数が伸びると、それまで旧型に乗っていた人が新型へ乗り換えることがあります。
すると旧型が中古車市場へ増えてきます。
一方で、新型車の納期が長かったり価格が大きく上がったりすると、「中古の旧型でいい」という需要が強くなることもあります。
供給も増える。
需要も増える。
この両方が同時に起きることがあります。
だから、販売台数だけを見て中古車相場の方向を決めることはできません。

ジムニーやランドクルーザーは、さらに別の要素が入る

今回のランキングでは、ジムニーが前年比153.8%、ランドクルーザーが163.4%となっています。
こうした車を見るときには、国内の新車販売だけでなく、海外需要も無視できません。
中古車オークションには国内販売を目的とした業者だけでなく、輸出を前提として買っているバイヤーも参加しています。
国内では「年式が古い」「走行距離が多い」と評価される車でも、輸出先によっては需要がある。
逆に国内では人気があっても、海外需要が弱ければ一定の価格帯から伸びないこともあります。
新車販売台数だけでは見えない市場が、中古車にはあります。

販売台数は「答え」ではなく「変化の入口」

新車販売ランキングを見て、「この車が人気だから高く売れる」と考えるのは少し早いと思います。
私が見たいのは、その数字の先です。
なぜ販売台数が増えたのか。
モデルチェンジなのか。
供給が回復したのか。
納期が短くなったのか。
その結果、どんな車が下取りに出てくるのか。
中古車市場への供給量はどう変わるのか。
国内では誰が欲しがっているのか。
海外ではどこから需要があるのか。
こうしたものが重なって、最終的に中古車相場が形成されます。

「売れている車」と「高く売れる車」は同じではない

これは車を売る側にとっても大切なポイントです。
新車販売ランキングで上位だから、中古車として必ず高く売れるわけではありません。
反対に、新車販売台数がそれほど多くなくても、中古車市場で供給が少なく、国内外から強い需要があれば高値になることがあります。
だから私は、査定するときに一つの数字だけで判断しないようにしています。
直近の中古車オークションの結果。
出品台数。
成約状況。
年式や走行距離による価格差。
国内需要。
輸出需要。
そして、新車市場の動き。
それぞれを見ることで、ようやく「今、この車が市場でどう評価されているのか」が少しずつ見えてきます。
中古車相場には、絶対的な正解があるわけではありません。
だからこそ、数字を一つ見るのではなく、複数のデータをつなげて考えることが大切です。
新車販売ランキングも、そのための重要な材料の一つです。
「今、何が売れているのか」だけではなく、
「この数字によって、これから中古車市場で何が起きるのか」
そんな視点で見てみると、新車販売ランキングの見え方も少し変わってくると思います。

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