日銀が利上げ。中古車の買取価格にどう影響するのか?
日銀が政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げました。
「金利のニュースと中古車の買取価格に何の関係があるの?」
そう思う方もいるかもしれません。
実は、かなり関係があります。
もちろん、日銀が利上げしたからといって、明日から中古車の買取価格が一斉に下がったり上がったりするわけではありません。
ただ、中古車の価格がどのように作られているのかを考えると、金利は無視できない材料のひとつです。
今回は少し視野を広げて、日銀の利上げから中古車の買取価格までをつなげて考えてみます。
日銀が政策金利を1.25%へ
9月18日、日銀は政策金利を0.25%引き上げ、1.25%程度とすることを決めました。
6月の1.00%への引き上げから、わずか3か月での追加利上げです。政策金利は約31年ぶりの高い水準となりました。
利上げの背景には物価があります。
日銀はこれまで物価上昇率を2%程度で安定させることを目標としてきましたが、現在は物価が上振れするリスクにも目を向けています。植田総裁も、今後については物価情勢を見ながら政策を判断する姿勢を示しています。
ここまでは、ニュースでもよく報じられている話です。
私が中古車の買取をする立場で気になるのは、その先です。
利上げすると円高になる?
一般的には、日本の金利が上がれば円を保有する魅力が高まり、円高方向に働く要因になります。
日本と海外との金利差が縮小すれば、円を売って外貨を持つ動きが弱くなる可能性もあります。
ところが為替は、そんなに単純ではありません。
今回も利上げそのものは市場でかなり予想されていました。発表後にはむしろ円が売られ、ドル円が一時158円台まで上昇する場面もありました。市場は「利上げした」という事実だけではなく、今後どこまで利上げするのか、そのペースはどうなるのかまで含めて判断しているからです。
ここが市場を見る面白さでもあります。
ニュースそのものではなく、そのニュースを受けて市場参加者がどう判断したのかを見る必要があります。
では、為替と中古車に何の関係があるのか
ここから中古車の話になります。
日本からは毎月、多くの中古車が海外へ輸出されています。
海外のバイヤーからすれば、円が安くなれば日本の中古車を買いやすくなります。
たとえば海外のバイヤーが同じ1万ドルの予算を持っていたとしても、1ドル150円なら150万円、1ドル160円なら160万円まで円建てでは予算を広げられます。
もちろん実際には輸送費、関税、現地販売価格、為替ヘッジなどがありますから、こんな単純な計算だけで買付価格が決まるわけではありません。
ただ、円安が海外バイヤーの購買力を高める方向に働くことは理解できると思います。
その海外バイヤーたちは、日本の中古車オークションでも車を買っています。
つまり、
日銀の金融政策
↓
金利差への市場の見方
↓
為替レート
↓
海外バイヤーの買付判断
↓
中古車オークションでの応札
↓
落札相場
↓
買取価格
という流れでつながっているのです。
ただし、すべての中古車が同じように動くわけではない
ここは非常に重要です。
円高になったから中古車相場が下がる。
円安になったから中古車相場が上がる。
そんな単純なものではありません。
国内で人気のある軽自動車と、海外への輸出比率が高いSUVでは、為替の影響度が違います。
輸出車でもUAEに向かう車、東アフリカに向かう車、中央アジア方面に向かう車などでは、それぞれ市場環境が違います。
さらに年式、走行距離、グレード、装備、状態によって買い手も変わります。
だから私は、平均相場だけではなく、「この車を次に誰が買う可能性があるのか」を考えることが大切だと思っています。
利上げには国内からの影響もある
もうひとつ見ておきたいのが国内市場です。
金利が上がれば、住宅ローンだけでなく自動車ローンや企業の借入金利などにも波及する可能性があります。
中古車販売店にとっても、在庫を持つための資金コストは無関係ではありません。
金利上昇が長く続けば、消費者が車を買うときの判断や、販売店が在庫を仕入れるときの判断にも少しずつ影響してきます。
つまり今回の利上げは、
「金利→為替→輸出市場」
という海外側だけではなく、
「金利→資金コスト・消費行動→国内中古車市場」
という国内側からも見ていく必要があります。
では、今回の利上げで買取価格は下がるのか
現時点では、そうは言えません。
むしろここから観察することが重要です。
今回の利上げを受けて為替がどう動くのか。
その為替水準が定着するのか。
海外バイヤーの買付上限は変わるのか。
輸出依存度の高い車種の応札が弱くなるのか。
国内販売店の仕入れ姿勢に変化が出るのか。
こうした変化が実際のオークションにどう現れるのかを見ていきます。
一日の相場だけを見て、「利上げしたから下がった」「円安だから上がった」と判断することはできません。
以前このブログでも書いたように、相場は一日ではくくれないからです。
車の買取価格は、車だけを見ていても分からない
中古車の査定というと、年式、走行距離、グレード、キズや凹みなどを見る仕事だと思われるかもしれません。
もちろん、それらは重要です。
でも、それだけでは価格は決まりません。
世界のどこでその車が必要とされているのか。
誰が買おうとしているのか。
為替はどう動いているのか。
金利はどう変わっているのか。
その背景まで見て、初めて「なぜ今、この価格なのか」が見えてきます。
市場を見るとは、ニュースを見ることではありません。
そのニュースを受けて、人がどう判断し、どう行動を変えたのかを見ることです。
その判断の積み重ねが、やがて中古車オークションの価格にも表れてきます。
だから私は、査定額だけではなく、その金額になった背景までお伝えしたいと思っています。
車の買取価格は、車だけを見ていても分からない。
今回の日銀の利上げも、これから中古車市場がどう動くのかを考える大切な材料のひとつとして、引き続き観察していきます。











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